第六十八章

わたしはためらっていた。ヘンリーの誘いを受けるべきかどうか、決めかねていたのだ。ビリーは凍えるような寒さから早く逃れたいのか、わたしの手をぐいぐい引っ張った。

「ママ、パパといっしょに行こうよ。ぼく、すごくおなかすいた」

冷たさにこわばった小さな顔で、ビリーは懇願した。

わたしが返事をするより早く、ヘンリーはもう車を降りていた。そしてよどみない動きでわたしをひょいと抱え上げ、そのまま助手席に座らせた。あまりの不意打ちに、抗議の言葉は喉の奥で消えてしまう。ヘンリーに、こんなふうに少しでも優しさを感じる触れ方をされたのがいつ以来だったのか、思い出せなかった。

「何をするの?」

半ば憤り、...

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